つばさの翼 (第三章の30) ・・二人の空・・
「伊織、おまえ無くしとうなかったんやな」
つばさにすべてをさらけ出すときに振り絞った力は、伊織の身体を強張らせたままでいた。
シロの声を耳にしたつばさなら、おそらくは大丈夫だろう。数字で言えば95パーセントくらいの確立で自分の過去を受け入れてくれるだろうという計算はあった。でも、もしつばさがこの聴話霊力という、皮肉なことにシロから名前を教えてもらったありがたくもない力のことを気味悪がって自分から離れていってしまったら、と想像すると残り5パーセントの確立が五倍にも十倍にも膨れ上がるような気がして不安で堪らなかった。
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